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2020.03.31

「文系AI人材」が備えるべき視点と思考法

優れたAI企画を発案し、導入力を高めるためのアプローチ

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株式会社ZOZOテクノロジーズ VP of AI driven business 野口 竜司 氏

 デジタルトランスフォーメーション(DX)の必須要件といえるデータ活用。その取り組みを加速させる上で、今やAIは無視できない存在になっている。PoC(Proof of Concept)の壁を越え、AIの構想フェーズから実装フェーズへと歩を進めるために、私たちはどのようにAIを捉え、活用すればよいのだろうか。そこで重要な視点として挙げられるのが、事業の企画やオペレーションといったビジネスサイドの視点から、AIの本質を学ぶことだ。 今回、「文系AI人材になる―統計・プログラム知識は不要」(東洋経済新報社)の著者であり、ZOZOテクノロジーズのVP of AI driven business を務める野口竜司氏に話を聞いた。

なぜ今、「文系AI人材」が求められるのか

野口 竜司「文系AI人材になる―統計・プログラム知識は不要」(東洋経済新報社)

―― まず初めに「文系AI人材」の概要と、そうした人材が求められる背景について改めて教えてください。

野口 竜司 氏(以下、野口氏) 「文系AI人材」とは、AIと同時にビジネスの現場に関する知識を備えた人材を意味します。かつては、データ・サイエンティストやAIエンジニアといった「理系AI人材」しか市場には存在していませんでした。しかし、AIがビジネスに広く活用されるようになった今もなお、それに近い状態が続いています。そうした中で、AIに関する知識格差や情報格差が生まれていて、その格差を埋める上で「文系AI人材」といった存在が求められていると考えています。

――AIに関する情報格差は近年になって広がっているのでしょうか。

野口氏 そうですね。今は、ビジネス現場における「AIの導入力」が問われる時代だと思っていて、その中でAIの情報格差は広がる一方です。同時に、事業やビジネスを動かす文系サイドの方々に、AIの知識が足りていないようにも思えます。そうなるとAIをビジネスの現場に適用させることが難しくなるため、本書を通して「文系AI人材」の必要性を伝えたいと考えました。

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「文系AI人材」には、AIの現場導入を推進する能力が求められる

――「AIの導入力」が足りないと感じるのは、どのような場面でしょうか。

野口氏 最も多いのは、ビジネスの新たな試みが実証実験で止まっているようなケースです。それはやはり、実証実験から本番実装に至るまでの間で、AIの導入にまつわる壁があるからだと思います。その壁を突破できる人材が、今世の中に求められているのではないでしょうか。

5つのパターンに分けられる「AIと人間の共働き」

―― 著書では「AIと人間の共働き」というキーワードで5つのパターンが挙げられています。

野口氏 5つパターンのうち1つは「人だけで仕事をしている」というものなので、それを除くと、全部で4パターンですね。特徴は図の通りなのですが、この中で、雇用の形態を大きく変えてしまうのが「I型」です。

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AIと人間の共働きを示す4パターン

「I型」は、これまで人間が行ってきた仕事をAIが完全に代行するものを指します。この形が増えることによって雇用のバランスが大きく変わることになるため、変化のインパクトという意味では非常に注目しています。

 続いて、AIとの協業関係という意味で注目しているのが「逆T型」です。「T型」は、人間の主要な業務をAIが補助するというものなので、AIはあくまでもサポート役。しかし、「逆T型」では主従が逆になるため、主要な業務をAIが行い、AIが不得意な部分を人間がフォローする形です。

 現状は人間がいないと成り立たない業務が大半を占めています。そこで、この「逆T型」の業務を人間がいかに主体的に設計するかが今後重要視されてくるはずです。

――「逆T型」を前提としてAIの活用方法や適用範囲を考えることが大事になるということですね。

野口氏 そうですね。もちろん、完全に人間中心だけで動いていた業務を全て見直して「逆T型」に変えることはかなり大変です。そのため、まずは「T型」を実現してから「逆T型」 を目指すといった形があると思います。その先にある「I型」に至るケースはそこまで多くないと思うので、AI実装社会が実現できるかどうかは「逆T型」を増やせるかどうかにかかってくるのではないでしょうか。

「文系AI人材」が取り組むべき仕事

―― 「文系AI人材」の具体的な業務としてはどのようなものがありますか?

野口氏 大きくは3つあります。1つ目は、AIを活用した企画を考えること。2つ目は、AIを現場に導入すること。最後の3つ目は、AIを運用することです。

 AIを活用した企画を考える上では、AIを使って「どのような価値を生み出すか」を予め明確化し、それに合った適切なAIを選ぶ必要があります。その上で、AIをどのように既にある業務プロセスに適用するのか、導入計画を立てたり、導入作業を行ったりします。そして、導入後にはAIを管理・維持しつつ、継続的に発展させることが大切です。

「理系AI人材」がやらない全ての仕事を「文系AI人材」が担う、そういったイメージを持っていただくとわかりやすいかもしれません。

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―― このような役割がある中で今、市場で特に不足しているのは、どのような人材でしょうか。

野口氏 現場へのAI導入を進められる人材は、やはり足りていないと思いますね。様々なタスクが生まれてくるので、そういったタスクをしっかりとやり切れる人材は極めて少ないと思います。

機能別に見るAI活用8パターン

――新たに「文系AI人材」を志すビジネスパーソンは、AIのどのような特徴を押さえるべきでしょうか。

野口氏 押さえるべきAIの機能や活用例は比較的限られていて、具体的には次の8分類が挙げられます。

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「機能別4タイプ×代行/拡張」で考えるAI活用例

 ここにある「人間代行型」は、人間ができることをAIが代行し、効率化してくれるものです。一方で、「人間拡張型」と呼んでいるのは、人間の能力は実現が難しいことをAIが可能にしてくれるものを意味します。例えば、医療現場で病変の早期発見などに使われているAIが該当しますね。

 AI導入期を前後半に分けるならば、前半にあたるのが「人間代行型」です。そして、AIの活用が発展した後半の段階で拡張型のイノベーションが起こり、「人間拡張型」の活用が広まっていくということになります。

―― この中で、特にユーザーに大きなインパクトを与えているのはどの分野だと感じますか。

野口氏 ユーザー体験・顧客体験を大きく変えるという意味では「予測系AI」が人々に及ぼす影響は大きいと思います。一人ひとりの好みに合わせた情報を提供する「パーソナライゼーション」を始めとして、今は先回りのコミュニケーションが広く求められています。

 例えば、企業はどのタイミングで顧客にアプローチすべきか、どのような内容を、どのような文脈で届ければ成果が出やすいのか、といったことも含めて類推・推測するものです。そして、これらの取り組みをいかに顧客の満足度を高めることにつなげるかが、今後注目すべき点だと思います。

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―― 会話系AIや実行系AIの分野についてはいかがでしょうか。

野口氏 何かお店の予約をしようとして電話をかけたときに、音声で返答される場合がありますよね。こうした分野でAIが発展すれば、自然な会話でAIが応答してくれる日も近いはずです。海外のプラットフォーマーが率先して技術開発を進めている印象ですが、こうした技術が発展することで人々の働き方に与える影響は大きいと見ています。

「実行系AI」に関しては、店舗内や倉庫内で働くロボットや、自動運転といった技術が該当します。フィジカルにものを動かす分野なので、労働力不足の解消といった貢献も考えられます。

―― 今後、日本国内でビジネス活用が進むのはどの分野でしょうか。

野口氏 「予測系AI」は、特に取り組みが進んでいる分野だと思います。例えば、金融系商材における解約の検知など、マーケティング分野における行動予測や需要予測は、発展が早い印象です。「会話系AI」でいうと、AIを搭載したチャットボットも市場での広がりが早いので、今市場で求められている技術なのだと感じます。

AI企画力の解像度を上げるためのアプローチ

―― では、AIの基本的な機能や活用例を踏まえた上で「AI企画力」を高めるためには、どのような視点が必要でしょうか。

野口氏 前提として「感性」と「論理」を行き来する、という視点が最も重要です。「感性」とは、ビジネスの課題を解決できるようなアイデア、どれだけ大きな課題に対してAIを活用するか、といった発想力・想像力を意味します。一方で「論理」は、現代のAIにおいて実装可能なのか、といったことです。言い換えると、課題解決に対する想像と、実行性の担保。この2つを行き来することで、AIでできることを過小評価せず、過大評価もしないことにつながると考えています。

―― 著書では、具体的な方法論にも触れられていますね。

野口氏 はい、アイデアリストを出す段階を「百本ノック」と呼んでいますが、たくさんの人で集まって、AI活用のアイデアをとにかく出せるだけ出す取り組みは欠かせません。そこから先は、「5W1H」のフレームの活用を推奨しています。「誰のために(WHO)」や「何故、それが必要なのか(WHY)」といった点を一つひとつ検証し、最終的にどのタイプのAI ならば解決できるのかをフレームワークを通じて確認することで、企画の解像度を上げていくものです。

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「5W1H」のフレームを活用して、どのタイプのAIが最適か検討することが重要

 ターゲットや課題解決の対象について理解を深めることで、どのタイプのAIを使うべきか、という判断の精度も上がっていきます。企画の軸がぼんやりした状態で検討を進めても、 なかなか実現には至りません。まずはアイデアを100近くまで拡散する、そして、5W1Hといったフレームワークを使ってアイデアを収束していく。拡散と収束の2つを使いこなすことが、AI企画の精度を高める上でのポイントです。

優れたAI企画は、社会課題の解決につながる

―― 最後に、「文系AI人材」に必要な視点を踏まえ、注目しているAIの導入事例を教えてください。

野口氏 1つ目は、神奈川県で実施された「要介護度予測AIの実証」、もう1つはALSOKが運用する「困っている人を自動検知するAI」です。この2つの事例の共通点は、いずれも事業やビジネスの課題解決にとどまらず、社会課題の解決を試みている点です。

 1つ目の「要介護度予測AIの実証」は、行政と企業が一体となって行った取り組みです。ここでは、介護の必要度をAIによって予測する、といった取り組みをしています。例えば、要介護度のスコアが上がった人に対して、どのように事前のケアをすべきか、といったことが指導できるようになるものです。最終的には、行政が負担する医療費を抑えることにつながっていきます。こういった予防的に処置が広まれば、介護が必要になるご本人様の症状を軽くできる可能性があるので、AI企画の着目点としても学びが多いプロジェクトです。  

 2つ目の「困っている人を自動検知するAI」は、カメラから見える範囲に体調を優れない方を検知した場合、即座に警備員のスマートフォンに通知する、といった仕組みです。道に迷ったり、体調が悪くしゃがみこんだりしている人をAIで検知できるため、こういった技術が発達すれば、社会的にも意義を持ったものになると思います。

 こうしたAIの活用を更に進めていくためには、AIは「誰もが身に着けるべきビジネスの基礎教養」ということをより多くの方が認識する必要があると考えています。インターネットやスマートフォンが私たちにとって当たり前の存在になったように、AIも当たり前の存在になっていくはずです。そうした前提を踏まえて、AIの知識を基礎教養として学ぶスタンスが、今後のビジネスの成功にもつながってくると考えます。

*本記事は 2020年3月27日 JBpress に掲載されたコンテンツを転載したものです

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