2020.03.30

【錦明印刷×大洞印刷×小松総合印刷の幹部が語る】印刷会社新時代に向けて!人材育成で令和という新しい時代を切り拓くために

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平成が終わり令和の時代が始まった。この新しい時代に印刷業界では新たな印刷会社のあり方を追求する企業が増えてきている。変革に挑む印刷会社は何を考え何が課題になっているのか。それを乗り越えるためにどんな人材が求められているのか。印刷会社の未来を切り開こうと挑戦を続ける3社の経営幹部に人材に焦点をあて話を聞いた。

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人材不足が変革の大きな壁になっている

――新しい時代に向かう印刷会社として人材面ではどんな課題があるのでしょうか。

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小松氏 今、印刷業界は変化に向けて過渡期を迎えています。そこで問題になるのは人材不足です。私たちが取り組もうとしていることは、これまでの延長線上にはない新しいことです。これまでの人材では対応できません。しかし、新人を育てるには時間がかかります。やるべきことがわかっていても、実行までは時間がかかりすぎてしまういというジレンマを日々感じています。

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大洞氏 印刷物を作るという面では人材は不足していないのですが、新しいチャレンジをする時に、全体を統括できるようなクリエイティブな人材がとても少ない。特に地方では深刻です。クリエイティブな仕事をしたいと考える人は東京や大阪などの都市部に出て行ってしまいますから、人材がなかなか採用できません。

 もう一つ教育という面でも課題が山積みです。当社のような中小企業には専門の部署をなかなかつくりにくい。現在は試行錯誤しながら教育プログラムを体系化しているところです。

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林氏 入社してくれる方との現実とのイメージのギャップの大きさも問題です。今、印刷会社は大きく変わっていなければならない局面にいますが、印刷をやりたい人が来るわけです。印刷のニーズは少なくなり付帯サービスが中心になっていくこれからを想定するとどうしてもギャップが生じてしまいます。

大洞氏 確かに本が好きという人が応募してくれるケースは多いですね。

林氏 だからどうしても足りないピースは中途採用で補うようになります。でも企業としては新人を育てることも大切です。その意味では印刷会社の再定義も必要なのかも知れません。

小松氏 新卒の採用自体が難しくなっています。変革期でもあるし、中途採用も積極的に考えながら新卒とのバランスをとっていかなければなりませんね。

大洞氏 当社では4年前に一括採用はやめて、新卒採用も中途採用も通年採用に切り替えました。

――男女比率という点では変化はあるのでしょうか。

大洞氏 当社の従業員数はちょうど100名ですが、51名が女性です。女性が増えて半分を超えました。新卒採用の8割が女性で占められたこともあり、入ってくる人が増えたこともありますが、テレワークや時短など働きやすい環境を整備してきた効果で、辞める人が減ったことも大きな要因です。78歳になっても働いてくれている女性もいます。

モノづくりだけでなくビジネスを考える人が活躍できる業界に

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――人材に求められる素養も変わってきているのでしょうか。

大洞氏 今まではモノ作りが好きな人たちが多かったですね。ただ、最近の現場は機械化、自動化が進んでいて、技術が平準化されて職人気質の人は少なくなってきました。昔のような3K(きつい・汚い・危険)職場ではなく、クリーンな方向に向かっています。営業やマーケティングはさらに変化が大きくて、印刷のやり方にこだわる人は少なくなっています。

林氏 営業職でも昔は印刷物の製作工程や現場とうまくコミュニケーションできる人が優秀だと言われてきましたが、最近では損益の計算方法といった数字や物事を筋道立てて会話ができる論理的思考の素養が重視されるようになっています。
 教育のやり方にしても、ビジネスマンとしての素養を備えた上で、印刷とかシステムの裏側を知ってもらうようにしています。印刷の知識は後からです。ビジネスにもシステムにも物事に対して好奇心が旺盛で、前のめりで取り組める人が欲しいですね。

大洞氏 求める人材の質が変わってきましたね。印刷よりマーケティングや著作権、ネットやITと言ったビジネス全般を理解できて、プロジェクトをコーディネイトできる人材が求められています。これは印刷業界だけに限ったことではないとは思いますが。

小松氏 お客様の話を聞いて「どう印刷するのか」という印刷物の提案をする営業マンでは仕事が取れなくなっていますよね。

林氏 印刷会社は2万社近くあって、この20年で半減したとはいえまだ需要に対して供給が多いのが現状ですから、差別化を図らなければ生き残れません。世の中のニーズとつなげることで、仕事を生み出していくしかないと思っています。

大洞氏 私はそこに大きなチャンスがあると考えています。印刷会社は全ての業種と取引できて、独自にB2Cのビジネスを展開することもできます。全ての人がお客様と捉えることができる印刷業界では、市場は無限にあるわけです。

 今はどんなビジネスでも、どんなサービスでも作っていけるということに面白みを感じています。それを一緒に楽しんでくれるベンチャー気質の人に来てもらいたいですね。

小松氏 受け身でやっていると面白くないかも知れませんが、いろいろな業種と付き合えるので、販促の計画を提案して、実行して結果を見て、次のプランを考えることをやっていると、幅広い経験ができる業界です。いろいろチャレンジしたい人には合うと思いますね。

林氏 お客様からもそうしたアプローチが求められるようになってきましたね。こちらがちゃんと反応すれば仕事が広がるのが実感できます。PDCAをお客様と一緒に体感できることは営業としては一番面白いところです。お客様のビジネスに貢献していることが実感できます。

小松氏 少しでも多くの人に当社の仕事の面白さを分かってもらうために、最近当社ではYouTubeを使ったPRも始めています。

印刷業界はこれからもっともっと面白くなる

――変化にどう対応しているのでしょうか。

大洞氏 当社は印刷色が強くならないようにリブランディングして、ロゴから「印刷」という文字を消しました。印刷物を使ってサービスを提供する会社、「プリント・サービス・プラットフォーマー」を目指すことを決めました。

 最終的なものは、箱でも、フォトブックでも、クリアファイルでもなんでも良いんです。それらを提供するプロセスが大切です。これからの世の中のキーワードは「つながる」ことです。お客様とつながりやすいプラットフォームを提供していきます。お客様からのお金のいただき方も変わっていくと思います。

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小松氏 当社は販促支援に注力しています。お客様が物を売るのにどんな方法が最適なのか、コミュニケーション手法も含めて提供しています。その中で紙を使うこともありますし、メールを使うこともあります。お客様の顧客データベース構築を担当させていただくこともあります。

 紙に捉われていては仕事の取り合いになりますから、違う切り口からアプローチしています。印刷でもデジタル印刷機を使った可変印刷など、ひと味違うサービスを提供しています。

林氏 今の事業の柱は大きく3つあります。出版印刷、商業印刷、そして写真です。昔と比べると売上の構成比率は大きく変わってきていて、フォトブックやフォトアルバムのような印刷物がないビジネスも増えています。

 最近では、既存のサービスを組み合わせたり、新しいサービスを組み込んで、お客様ごとに違うサービスを作っていくというアプローチがこれからのあるべき姿ではないかと考えています。

――印刷業界は大きく変わりつつあるということですね。

小松氏 人材不足は印刷業界に関わらず日本全体の問題でこれからも続いていきますから、ロボットやAIを使った自動化はさらに進むでしょう。製造業としてここにも取り組まなければなりません。ただ、情報を集めて、想いを描き、表現していくのは人間です。印刷業界にもそれが求められていますし、それができる環境や技術が整ってきました。これからますます面白くなると思いますよ。

大洞氏 私は世の中に足跡を残してきたいですね。本当の意味で世の中の役に立つ仕事がしたい。大量のチラシを印刷して配ることは、極論すればゴミを作っているようなものです。印刷会社の都合を押し付けるのではなく、本質を見て意味のある仕事をしていきたいと考えています。

林氏 今まで私たちは印刷のスペシャリストでしたが、これからは顧客を知っているスペシャリスト、プロデューサー的な役割を果たしていくべきだと思います。サービスがあって、その上で物があり、それがたまたま印刷物だったという形です。お客様のためにサービスを構築することを楽しんでいきたいですね。

【事業紹介】※50音順


大洞印刷株式会社
印刷物の提供ではなくお客様を真の成功に導くため、業績向上を達成するための販促活動のサポートやセールスを後押し。製品やサービスの魅力を伝える、新しいコミュニケーションのアイデアを具現化するため、8 0 年以上の経験と独自の特殊印刷技術、EC で培ったIT・Web マーケティングの知見を駆使して、今までにない付加価値を生み出すプラットフォームなど、お客様のビジネスに次の「違い」を創造する。


錦明印刷株式会社
単にキレイだけでないビジネスで効果を出すための印刷物の商品価値向上や、企業が見込客創出・維持を行うために必要なマーケティングサービス、業種毎に異なった業務フローの改善を通して、効率化UPを目指すなど幅広い事業を展開。


株式会社小松総合印刷
顧客情報の収集・分析を行い、ROI(Return On Investment:投資収益率)を意識した効率の良い販売促進を提案。特殊印刷で培った品質管理も万全。マーケティングサポートからプランニング・制作・クロスメディアの対応・レスポンスの高い特殊印刷等、販促など幅広く展開



【本記事は JBpress が制作しました】

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