2020.06.12

PrintOSX──「破壊と創造」をサポートするHPデジタル技術の真骨頂

HPデジタル印刷機がもたらす革新 4

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最新のHPデジタル印刷技術がもたらす世界を、さまざまな視点からクローズアップしてきた連載「HPデジタル印刷技術がもたらす革新」。シリーズ4回目の今回は、これまで紹介してきたさまざまなテクノロジーを有機的に融合させ、デジタル印刷機の機能をより効率的に、最大限に引き出すPrintOSについて株式会社 日本HP デジタルプレス事業本部のソリューションアーキテクト 森真木氏が解説していく。

株式会社日本HP デジタルプレス事業本部 コマーシャル営業本部 ソリューションアーキテクト
森真木氏

Indigo日本立上げ時にプリプレス担当としてE-Printに関わる。
以後、オフセット印刷メーカーを経て2008年からHPでDFEサービスエンジニアを担当。
以後PODメーカーへ移動しBPOビジネスの構築運用を担当後2016年からHPで商業印刷ソリューションアーキテクトとして活動。

HP デジタル印刷機
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クラウドを活用し、印刷効率を追求するPrintOS

デジタル印刷機/プリンターによる生産を、最大限に効率化するオペレーティングシステムがPrintOSです。2016年の登場以来、約17,000ユーザーに登録していただき、「いつでもどこでもアクセスできる」という特徴を活かして、みなさまの生産をサポートしてきました。今改めて振り返ってみると、3つのコンセプトが挙げられます。

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まずは「最適化」。生産を最適化するために、どのような改善点があるのかを常にチェックします。次に「自動化」。生産における無駄を排して標準化、自動化によって生産の効率を最大限に生かします。最後に「成長」。デジタル機器の導入によって広がったビジネスの領域に対し、新たな挑戦や他社とのコラボレーションを積極的にフォローします。このようにPrintOSにはデジタル印刷における、あらゆる可能性を追求するツールが用意され、効率的な業務のサポートを追求します。それでは主要なツールがもたらす効果を見ていきましょう。

全方位から印刷サービスを最適化する多様なアプリケーション群

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PrintBeat
印刷機の稼働状況をWebやモバイルアプリなどを用い、リアルタイムでチェックできるアプリケーションです。現在行われている印刷状況の確認や、消耗品のライフサイクル、インキの使用状況などを、チェックすることができます。これまで機器の状態確認は、人の手に委ねられてきました。ですがPrintBeatが常にこれらの情報を監視し、運用改善案をアドバイス。さらに問題が発生した際にはその解決方法を知るアプリケーションも用意されています。

運用結果はスコアに反映され、全世界のPrintOSユーザーの中でランキングとして表示。ご自身が全世界で何番目に効率よく機械を運用しているかを、チェックすることができます。これは印刷機を限界まで運用しているかという点だけではなく、無駄なく消耗品を使いこなしているか、無駄なアイドル時間がないかといった点も、スコアに反映されます。

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Print Beat OEE (Overall Equipment Effectiveness)
印刷機がいかに効率よく運用されているかを図る指標が、OEE (Overall Equipment Effectiveness)です。これは印刷業界に限らず、全世界で生産環境に関わる稼働率を評価する指標になっています。機械ごとの印刷状況、消耗品交換、エラーから復帰の時間などを記録し、印刷していない時間にどのようなアクティビティが行われているのかといった点を分析、生産を圧迫している運用を改善していくことで値が向上していきます。これにより機械の稼働と生産環境の最適化していきます。

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Print Beat Color Beat
Print Beat Color Beatは、印刷物の色再現性を自動で測色し、健全性を維持するためのツールです。定期的にカラーチャートを出力し、目標とする色を実現できているかをチェックします。あまりにも目標とする色とかけ離れている場合は、改善すべき点をアラートとしてお知らせします。

また、会社に複数台の印刷機がある場合には、機械間の色の整合性もコントロール。機械ごとに色ブレがないか、という点についてもColor Beatで管理できます。

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「目標とする色が達成できているか」という点についても、スコア化されます。インキの濃度値や印刷の面積が適正か、印刷面の左右で色のブレがないかなど、11の指標でチェックします。あまりにも評価が悪い指標については、フクロウのマークが出現。このフクロウをクリックすると、改善へのアドバイスが表示されます。すべてのスコアがグリーンになると、正常可動しているという証です。
測色スコアは履歴として管理され、クライアントと品質状況をシェアすることに役立てていただくこともできます。

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Media Locator
HP Indigoデジタル印刷機やPageWide、DesignJetなどで使用できる原反を検索できるツールです。たとえばクリアファイルでビジネスを展開したいと考えたとき、HP Indigo が認証している透明原反を全世界のメーカーから検索し、直接オーダーすることが可能です。

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Substrate Manager
印刷機に登録している用紙を、クラウド上で管理するツールです。これまでは印刷機それぞれに対して用紙情報を登録する必要があり、オペレーターが1台ずつ手作業で行っていました。ですがSubstrate Managerを登録した用紙の情報を、クラウドからダウンロードすることで、複数の印刷機でも情報を共有することが可能になります。

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Knowledge Zone
ユーザーガイドやトラブルシューティングのノウハウ集です。運用面やトラブルでのテクニカルな疑問を抱いたとき、Knowledge Zoneで対応策を調べることができます。

Resource Manager
DFE(DigitalFront End)の設定をクラウド上で管理できるツールです。チケットテンプレートや面付テンプレート、ICCプロファイルなど、複数のDFEに入っている情報を一括監視します。

Service Center
コールセンターへの問い合わせを一括管理するものです。サービスコールの開始と状況、サポートエージェントとのやり取りを記録します。

デザイン生成と生産性向上をサポートする機能

Composer
より快適に可変デザインの魅力を体験していただくために、クラウド上で可変デザインを生成するツールとしてComposerを用意しました。可変デザインを生成するHP SmartStream Designerは、Adobe InDesign、Adobe Illustratorのプラグインであり、可変データの生成時間は制作環境の稼働率に影響します。その状況を解消するため、Composerでは可変デザインのベースとなるテンプレートとデータベースのみをアップロードすることで、クラウド上で可変データを生成。PrintOSに接続された印刷機に、生成された可変データをPDFファイルとしてダウンロードします。

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PrintOS Box
印刷データ、入稿データのやり取りを支援するツールです。膨大なデータを送信するだけではなく、入稿データの不具合をPDFのプリフライトでチェックする、自動的に次の工程にデータを送るなどの機能を持っています。また、データ送信者とのコミュニケーションが一括管理できるので過去の履歴を検索・管理するという手間を解消できます。これまで人の手によって行われている入稿データの受け渡し、ファイルの確認、次の工程にデータを渡す、といったフローが、PrintOS Boxによって自動化することができます。

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Site Flow
ウェブツールなどで受注したオーダーの受付印刷、後加工、そして発送まで、大量のジョブをエンドツーエンドで管理することを可能とする機能をもちます。ジョブによっては何万件ものオーダーを決められた期間に処理しなければなりませんが、それを人の手だけで対応することは不可能であり、生産工程の自動化処理を実現させる手段としてSite Flowがあります。

Site Flowで管理ができるものは印刷に限らず、後工程の加工や、配送のシッピングまでをカバー。自社の生産環境のすべてを可視化し、管理することが可能になります。

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Marketplace
ビジネスの可能性を広げるためのツールが取り揃えられている機能です。ビジネスのヒントとなる事例紹介やHP Indigoデジタルプレスの新機能情報などが閲覧できるほか、すぐにビジネスに使えるようなイメージファイルや、HP Mosaic、HP Collageのサンプルファイルなどが用意されており、自由にダウンロードして使っていただくことができます。ほかにもシルバーやビビットピンク、ビビットグリーンといった新たなインクを体験できるサンプルも用意されています。世界中の新しいデザインやサンプル、無償公開データは日々更新されており、魅力的なデザインを生み出すヒントにつながるはずです。

またサブスクリプション形式で利用可能なアプリケーションも用意されていることも、Marketplaceの特長です。これによって初期投資や追加投資を抑えながら、ビジネス拡張に必要なツールを受領課金制で利用することができます。

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デジタルトランスフォーメーションの新時代を告げるPrintOSXの可能性

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デジタル印刷技術の効率化をサポートするPrintOSは、さらなる革新を目指して、2020年PrintOSXへと進化を果たします。データベースにある膨大な印刷機の関連データを、AIによる機械学習を用い活用することで、印刷機上で今後起こり得ることが予測可能になります。これにより、更なる稼働率の向上、そして印刷機の事前予防保守などを行うことが可能になります。

また、これまでのPrintOSは機械の管理が主たる目的でしたが、オペレーターや生産管理者、ビジネスオーナーなどにも最適化と発展をもたらすクラウドサービスとして成長する予定です。新たなフェーズを迎えるPrintOSXにご期待ください。

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