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2020.08.28

HP Zワークステーションで拓く、バーチャルヒューマンの新しい可能性。リアルタイムレンダリングでの高速処理でより高い表現力を実現

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バーチャルヒューマンとは、CGで作られた仮想の人物像のこと。近年の技術向上や優れたアーティストらの手腕によって、その表現力は人間と同等、あるいはそれ以上のレベルに達している。中でも注目を集めているのは海外にも広く受け入れられている「imma(イマ)」というキャラクター。その制作にはHP Zワークステーションが活用されているという。バーチャルヒューマンを開発、プロデュースしている株式会社Aww(アウ)に話を伺おう。

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株式会社Aww プロデューサー M


取締役 岸本浩一(左)・  CGエンジニア 坂本大輔(右)

日本初のバーチャルファッションモデル「imma」

株式会社Awwは、バーチャルヒューマンの制作からプロデュースまで一貫しておこなっている企業だ。現在公開しているキャラクターは、SNSを中心に大きな話題を呼び、現在は様々な企業広告にも登場しているバーチャルファッションモデル「imma」を代表として、その友達や弟など合計3体になる。「immaは、ファッションモデルとしての依頼が多いのですが、それに限らず、ポルシェ、IKEA、SKIIといった企業とも契約を結び、ブランドの世界観を体現する表現者として活躍させていただいています」と語るのはAwwのプロデューサーM氏だ。

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バーチャルファッションモデルとして活躍する「imma」。確かな存在感が演出できるのもAwwの手腕によるところだ

現在、世界ではバーチャルヒューマンをプロデュースする企業が増えており、そのキャラクター数は100体以上ともいわれ、現在も増え続けている。「新しい市場ですが、これからもどんどん成長していくと思います。将来的にはVRなどと同等の規模になるはずです」と見通しを語るプロデューサーM氏。欧米を中心に活性化している市場だが、近年は中国、韓国といった国でも人気が出てきている。

「ただし、日本は少し遅れており、immaのニーズも世界がほとんどです。問い合わせいただいている企業は、他のバーチャルヒューマンにはない、高いクオリティを求めて弊社にオファーをしてくださるケースが多いのが現状です。それだけでなく、キャラクターをプロデュースして、コンテンツも作れるという面もたくさんの問い合わせをいただく要因となっています。ですから、弊社としてはそのどれもが欠けてはならないものだと考えています」とプロデューサーM氏は語る。

バーチャルヒューマンの設計、制作、そしてプロデュースからコンテンツ制作と、すべてにおいて高いクオリティでサービスを提供できるのがAwwの強みというわけだ。

バーチャルヒューマンの開発に欠かせないZ8

「バーチャルヒューマンを創り出すためには、様々なエフェクトを使います。設計も緻密ですし、高性能なワークステーションは必須です」と語るのはAwwでCG制作を担当しているCGエンジニアの坂本氏だ。

Awwで使っているメインのワークステーションは、HPのフラッグシップモデルでもある「HP Z8 G4 Workstation(以降、Z8)」になる。プロセッサーには24コア、48スレッドの圧倒的なプロセッサーパワーを持つインテル® Xeon® Platinum 8160 プロセッサーをデュアルで搭載。これにより、他に類をみない演算能力を実現している。また、グラフィックスには2枚のNVIDIA Quadro RTX8000をNVIDIA NVLink™で動作させている。これによってGPUコンピューティングを用いるアプリケーションにおいて、これまでにない高い処理能力を発揮する。

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HP Z8 G4 Workstation

「制作環境としてはUnreal Engineを中心に、Autodesk MAYA、Adobe Photoshopなど、複数のアプリケーションを使用します。開発内容によってCPU負荷が高い作業もありますし、GPUを使う処理もありますが、Z8はその両者で高い性能を発揮してくれています」と坂本氏は語る。

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マシンへの負荷の高い作業もストレスなくこなすZ8

影の表現にはレイトレーシングを用いるが、従来のマシンでカクツキが気になるような表現でも、Z8はほとんど気にならないレベルだという。「他にも複数のアプリケーションを起ち上げて、切り替えながら作業をすると重さを感じていたような状況でも、デュアルで搭載されているXeonのおかげでとてもスムーズに作業ができています。また、静止画を合成する仕事もあり、こちらもプロセッサーパワーが特に影響する作業ですが、連続して作業するようなケースでもストレスを感じることなく進めることができています。」と坂本氏は語る。

サーバーでも採用されているハイエンドプロセッサー。ワールドレコードを記録したコンピューティングパフォーマンス、幅広いワークステーション向けアプリケーションに特化したハードウェアベースのアクセラレーション、ストレージとネットワークへの低レイテンシ、ハイスループットアクセスを実現。CAE、BIM/CIM、3Dコンテンツ、VR、AIディープラーニングなど解析、高度な処理能力に対応。デュアルプロセッサーの搭載も可能。

また、Z8は坂本氏のデスク脇に設置されているが、静穏性の高さにも驚いているという。「作業中でも音が気になったことはないですね。これまでは負荷をかけたときのファンの音も大きかったですし、何よりも熱が出るので状況によってはマシンの周囲が熱くなることもしばしばでした。しかし、現在では音も熱もまったく感じないレベルです」と坂本氏は環境面でのメリットを語る。

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デスクの脇に置かれている状態でも静音性の高さとエアフローの良さが際立つ

高みを目指すためのハイスペックへのこだわり

「現在はバーチャルヒューマンにリアルタイム性やインタラクティブ性を求めています。例えば、ライブパフォーマンスができたり、その場で会話ができたりするなど、よりハイレベルな表現を実現させたいのです。そのためにはゼロコンマ数秒でも遅延があると違和感を覚えてしまいますから、ハイスペックなマシンがより求められるようになります」と語るのは取締役の岸本氏だ。

今後のバーチャルヒューマンはより人に近い存在になり、距離感がもっと近くなるとAwwでは予想している。「例えば、VRやARの中にバーチャルヒューマンが存在し、その中で受け答えができるようになると考えています。そんな世界を実現するための基礎開発をどんどん進めている最中です」と岸本氏は言葉を続ける。

「いまやっている表現ではリアルタイムレンダリングを使っていますが、Z8にしてからイメージの連番を書き出しているときの時間は1枚数秒単位になっています。これなら違和感の少ない表現が可能です。レンダリングに関しては作業によって時間は異なるので正確なベンチマークはとっていませんが、これまで数時間掛かっていたものが数十分で終わる感じですね。結果が早ければさらに細かい部分の修正に充てられる時間が長くなる、ひいてはクオリティにつながってきます。」とZ8の手応えを語る坂本氏。

また、ハイスペックなワークステーションを運用することは、クリエイティビティの面でも影響が大きいのだという。「Z8のおかげで何かの表現を試すにしても結果が早く出てきます。その結果を見ながら修正を繰り返すのですが、時間がかかるとストレスもたまってしまいます。そういった部分で現在はとてもよい環境になっているので、作品のクオリティ向上にも貢献してくれていると感じています」と坂本氏は語る。

「キャラクターが演じられる表現の幅を広げてくれるのがZ8だと思っています。弊社の事業モデルとして、中途半端な状態のキャラクターは出さないという強いこだわりがあります。逆に言うと、精度の低いモデルを出した瞬間にこのマーケットは終わってしまうと思うので、今後はますます表現力の向上に力を入れていきたいですね」とプロデューサーM氏は語る。

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様々な可能性を秘めたバーチャルヒューマンは、今後の企業活動に大きな変化をもたらす存在になるはずだ

「2020年に起きた世界的なパンデミックですが、弊社はその中にあって仕事を増やすことができた企業のひとつだと思います。その理由のひとつとして、バーチャルヒューマンが病気に影響されない存在であることや、存在する場所を問わない部分などが注目され、企業活動が制約される中でもプロモーションが続けられる点で多くのメリットがあるからだと考えています」とプロデューサーM氏。

企業にとって起用メリットの多いバーチャルヒューマンは、今後もますます活躍の場を広げていきそうだ。日本においてこの業界を牽引する存在となっているA wwはこれからも様々なアイデアで世界を驚かせてくれるに違いない。「バーチャルヒューマンでやりたいことはまだまだあるんです」と最後にプロデューサーM氏は笑顔で語ってくれた。HPもAwwを支えるべく、これからもサポートを続けていく。