2020.02.19

シンプルに分かりやすくまとめる!インフォグラフィックスの基本

インフォグラフィックスをうまく活用することで、情報やデータをシンプルにわかりやすく伝達できます。また、視覚的な訴求に長けているため、プロモーションツールとしても利用できるうえに、動画などほかのツールと融合させるとインパクトが一層増します。情報があふれる世の中で、感覚的に内容を理解できるインフォグラフィックスに、ますます目が離せません。

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インフォグラフィックスは、たくさんの情報を視覚的にわかりやすく伝達できるデザインの手法として注目されています。しかし、その使い方によっては、情報がわかりにくくなったり、デザインの作成に時間がかかったりするデメリットがあります。そこで今回は、インフォグラフィックスの基本的な特徴や適切な活用方法について解説します。

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インフォグラフィックスを活用する2つのメリット

インフォグラフィックスの強みを生かすことで、伝えづらい複雑な情報もシンプルに表現することが可能です。ここでは、インフォグラフィックスのメリットについて主に2つ紹介します。

視覚的に伝えることができる

インフォグラフィックス(infographics)は「information」と「graphics」を組み合わせた造語で、さまざまな情報を図形化した表現方法のことをいいます。この語源からもわかるように、複数の情報を整理して視覚的に伝えられる点が大きな特徴です。

インフォグラフィックスが実際に使われている例として、電車の路線図や資料のグラフ、ポスターなどが挙げられます。数値や量などがグラフやイラストなどで表現されるので、見る人が感覚的に理解しやすいことが利点です。

インターネットやスマートフォンの普及にともない、膨大な情報を瞬時に理解する局面は多くなりました。そのような時代の流れのなか、インフォグラフィックスは有効な情報処理の手段としてニーズがますます高まっています。

違う言語の人にも訴求できる

インフォグラフィックスは異言語を使用する人への情報伝達も可能です。文字や数値だけに依存せず、グラフや図表などをうまく取り入れることで、一目で理解しやすいデザインが作成できるからです。ゆえに、専門的な内容や伝わりづらい数値なども、インフォグラフィックスを活用することで視覚的にわかりやすく伝えられます。これは、国際的な場でのプレゼンテーションや、プロモーションなどの際にも役立ちます。

インフォグラフィックスのデメリットと注意点

インフォグラフィックスの作成は、デメリットと注意点を理解したうえで取り組むことが大切です。

制作に時間がかかってしまう

インフォグラフィックスは便利な手法ですが、制作には多大な時間を要します。短時間でデザインを作成するには、まず伝えたい情報を整理して分析したうえで、形にしていくことが必要です。

ブレインストーミングなどをして、思いつくままアイディアや情報を出した後は、それらの取捨選択をします。そのなかで、関連しているものは1つにまとめたり、不要な情報は削除したりしていきます。整理を誤ると、本来伝えるべき事実と異なる受け止め方を相手にされてしまったり、誤解を与えてしまったりする可能性があるので注意が必要です。

インフォグラフィックスは言葉による情報量が少ないぶん、理解を相手に委ねる傾向にあります。ゆえに、作成する前にはしっかりと手順を踏み、第3者に作成物の客観的な感想や意見などを聞いて、ミスを未然に防ぐことが大切です。

作成時の3つの注意点

インフォグラフィックスの作成には、主に3つの注意点を意識する必要があります。

1つ目は「一次情報を扱う」ことです。インフォグラフィックスは多くの情報を扱うため、データ元の信頼性についての確認が大切です。一次情報の利用を念頭に置き、不正確な情報が混入しないように気をつけましょう。また、複数人で作業をする際は「ファイル名の付け方」や「データの保存方法」などのルールを事前に決めておくことで、データの取り違いなどのミスを防げます。

2つ目は「情報の切り口」です。作成前に「どのような情報を伝えるべきか」を明確にすることで、的確に発信者が意図するメッセージを伝えられます。間違った切り口のままだと、論点がはっきりせず、的外れな印象を与えます。そのような事態を避けるためにも、ペルソナの設定や5W1Hなどを意識し、情報の視点や切り口が合っているかどうかを適宜確認しましょう。

3つ目は「しっかりと作り込んでいるか」です。インフォグラフィックスには丁寧な作り込みが大切ですが、段取りが悪いと莫大な時間がかかります。しかも、時間をかけて一生懸命デザインを凝ったとしても、適切な表現ができなければ労力や時間に見合う効果や評価を得られません。多忙なビジネスマンにとって、インフォグラフィックスだけに注力することは困難です。したがって、効率的な作成のためにも「インフォグラフィックス制作サイト」や「素材サイト」などを活用し、制作時間の短縮化を図りましょう。

作成の基本となる3つの流れ

インフォグラフィックスの作成には、基本となる3つの流れがあります。ここでは、それぞれの段階のポイントについて解説します。

テーマを設定して切り口を考える

1つ目の段階は「テーマの設定・一次情報の収集・切り口の設定」です。テーマの設定や切り口を考える際は、マーケティングの視点を意識することが大切です。「ターゲット分析」を軸として相手のニーズを突き詰めることで、心に刺さるメッセージを伝えられます。また、関連情報は孫引きを避け、できる限り一次情報を元にすることでデータの信頼性が高まります。よい切り口がなかなか想起できない場合は、さまざまなインフォグラフィックスのウェブサイトを見て、作成物のイメージを固めるとよいでしょう。先述した通り、社内で情報を共有して客観的な意見を取り入れることで、表現方法や数値のミスを防げます。

必要な素材を準備する

作成する方向性が固まったら、次は「必要な素材を準備」が大切です。イラストの作成や画像処理が苦手な人も、無料で素材を集められるウェブサイトが多数あるので問題ありません。気になる素材は、探し出すのに苦労することがあるため、日頃からブックマークなどをして目を付けておくと時間が節約できます。

ただし、フリー素材を利用する際は商用利用が可能かを確認し、規約違反にならないよう注意しましょう。商用が可能な素材の中にも、作者名や引用先の記載が必要な場合もあります。

また、Adobe IllustratorやPhotoshopなどを使えば、イメージに近いデザインを作成できます。ただし、これらのソフトのインストールには料金がかかるので、費用を抑えたい人はフリーソフトでの代用も可能です。無料ソフトも有料ソフトに劣らない機能性のものが多いので、気軽に利用して性能を確認できます。

情報を編集していく

素材を収集した後は「集めた情報の編集」が必要です。インフォグラフィックスの作成は、Microsoft Office PowerPointなどを使い、プレゼンテーションモードなどで実際の見え方を意識しながら完成させます。実際にデザインの見え方を確認することで、作成段階では気付かなかった不備や改善点などを発見できます。

デザインソフトの利用に不慣れな場合、ウェブ上でインフォグラフィックスの作成ができるツールを活用するのもよいでしょう。制作サイトを利用すれば、グラフィックのソフトを使わずにインフォグラフィックスを作成できます。海外のサイトでも、日本語に対応している場合があるので、日ごろからチェックしてみましょう。

海外ではインフォグラフィックスの技術が日本よりも進んでいるので、洗練された表現が可能です。外国のツールが利用できる人は積極的に活用してみましょう。これらのサイトは、吹き出しやアイコンに特化していたり、ピクトグラムの種類が多かったりと、それぞれに特色があります。自分の表現に何が必要かを見極め、多くの制作サイトから最適なものを選びましょう。

インフォグラフィックスの4つの具体例

インフォグラフィックスには多様な種類があります。ここでは主に「代表的なパターン」を4つ紹介します。

図形やイラストでシンプルにまとめる「ダイアグラム」

ダイアグラムには2つの意味があり、一般的には「抽象化した図形やイラストなどを多く用いて、わかりやすく伝える手法」のことを指します。ちなみに2つ目の狭義な意味は「定性的なデータを線や矢印などで視覚的に表現すること」です。インフォグラフィックスとしては、前者の意味合いで用いられます。ダイアグラムは比較分析や分類表などとの相性がよいため、マーケティングの場面や、地下線路図や人口分布でも用いられます。これらに活用できるフリー素材は多いので、うまく加工すれば独自性のある見栄えのよいダイアグラムが作成できます。

特殊なものも作成できる「グラフ」

グラフには円グラフ、棒グラフ、折れ線グラフなどさまざまな種類があります。「表現したいデータが質的か量的か」「系列の個数がいくつあるか」などによって、用いるグラフが異なる点に注意です。また、円グラフや折れ線グラフなどの一般的なもの以外にも、雨粒のような特殊な形のグラフが作成できます。テーマに合ったイラストを入れたグラフを作れば、視覚に訴えかけることも可能です。グラフの内訳に関しても、文字や数字で表記するのではなく、イラストなどを加えることで異言語の相手にも情報が伝わりやすくなります。たとえば、地域別の牛乳の生産量をグラフで示す場合、牛やミルク缶のイラストと共に量的な差異を表現すれば、感覚的に情報を理解できます。

複雑な情報を瞬時に理解できる「フローチャート」

フローチャートを使用すると図形・線・矢印などを駆使するので、複雑な情報も一目で理解できます。また、単に矢印や線で指し示すだけでなく、イラストなどを一緒に用いると、どのフローで何が起こっているかを視覚的に示せます。また、イラストやアイコンだけでなく、使用する文字の色やサイズを変えると、視認性により影響を与えます。フローチャートは、ダイアグラムと似たような役割と考えられることがありますが、フローチャートのほうがダイアグラムよりも物事の流れや順序に特化しています。ゆえに、製造過程や質問表などをコンパクトにまとめたり、説明したりする際に多く用いられます。

文字やイラストを駆使する「年表」

年表は、どうしても数字と出来事の羅列になりがちなので、受け手によっては退屈な情報になりかねません。そこで、インフォグラフィックスを用いて年表を作成する際には、文字情報ばかりでなく、文字で伝える情報をイラストに置き換えたり、文字とイラストを併用したりすると効果的です。また、デザインが画一的なものにならないよう、フォントやイラストの大きさにメリハリをつけるなどして、大切な事柄が明確かどうか意識しましょう。

レイアウトはシンプルに整えることが大事

伝えたい情報を盛り込み過ぎると、結果として論点が薄くなり、メッセージの要点が伝わりにくくなってしまいます。ゆえに、インフォグラフィックスのレイアウトはできるだけシンプルに整えことが大切です。とりわけ、インフォグラフィックスは視覚的にわかりやすいことが命です。ごちゃごちゃとした見せ方は、インフォグラフィックスの魅力を生かしきれていません。シンプルなレイアウトでありながら、豊富な情報を伝えられることがインフォグラフィックスの強みなので、その点を意識して情報を整理し、オリジナリティをもって表現方法を工夫することが肝心です。

苦労して集めた情報を削除することは勇気のいることですが、メッセージを明確にするためには、無駄を省くことがポイントです。これは、文字や数値などの内容に関することだけではありません。直接的には関係がないように見える、イラストやチャートなどの利用がないかもチェックしましょう。

また、配色に関しても配慮が必要です。レイアウトでは5色以上の使用は避け、適切な範囲のみで色を使用します。あまりにもカラフルにしてしまうと、受け手にうまく情報が伝わらない場合があります。配色の際には伝える内容のイメージに応じて、寒色系と暖色系の色のバランスを合わせて色を選ぶとよいです。企業のブランドカラーや物事をイメージしやすい配色がある場合は、意図的にその色を使用することで、ブランドイメージの表現が可能です。企業のイメージのほかにも、たとえば日本についてインフォグラフィックスで表現する場合、赤と白をベースにデザインすれば「日本に関しての情報だ」と相手にわかりやすくなります。

動的なインフォグラフィックス

インフォグラフィックスは、一般的にポスターや資料の図表などに用いられる静的なものです。一方で、動的なビデオグラフィックスという新しいインフォグラフィックスの形が注目されています。

ビデオグラフィックスの出現により、静的なインフォグラフィックス以上の情報伝達が可能になりました。ただ、動的なインフォグラフィックスは作成に多くの時間を必要とするため、制作を考える際はプロへの依頼も視野に入れるとよいでしょう。

ビデオグラフィックスも静的なものと同様に、シンプルに情報をまとめることがポイントです。そのためには、過度な表現を控え、筋の通った情報の整理が大切です。

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