2020.01.22

視野検査に革新を起こした「GAP/GAP-screener」にHPワークステーションが貢献

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 緑内障の早期発見のために必要な視野検査は従来医療従事者および患者にとっても負担が大きかった。株式会社ファインデックスは、その負担をVRテクノロジーとAIを活用することで大きく軽減するだけでなく、場所を選ばず、簡単で精度の高い視野検査を可能とする製品「GAP/GAP-screener」を開発。そこにはHPのワークステーションが採用されているという。どのような製品になっているのか、実際に話を伺ってきたので紹介しよう。

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負担の大きい視野検査の改善を目指す

 株式会社ファインデックス(以下、ファインデックス)は、医療システムやオフィスシステムの開発・販売などをメインに活躍する企業だ。同社は「世の中で必要とされていること、まだ世の中にない新しい発想・技術を探し続ける」をテーマに、社会に必要とされる価値ある製品を数多く送り出してきた。

 「弊社が扱ってきた医療システムの膨大な情報を二次利用する取り組みや、お客様からのアイデアで機器類を開発・販売するなど、医療領域において新しい分野を切り拓いていくために、『Health Tech事業』が起ちあがりました。そこで、サービスや製品開発をしています」と語る根岸氏。

 ファインデックスが視野検査のためのシステム開発を始めたのは、同社とゆかりのある愛媛大学の工学部から、彼らが持っている特許を使って何か取り組みができないかという相談を受けたのが始まりだったという。「従来、視野検査においては計測中に眼を動かしてはいけなかったのですが、愛媛大学では全く逆の発想で眼を動かしてもよい測定方法の特許を持っていました。そこに、弊社がこれまで培ってきた医療システム、中でも特に多くのユーザを持つ眼科分野でのシステム開発経験と、新たに設立した子会社(EMC Healthcare)のデータ分析力を組み合わせて、視野検査システムの開発を進めることになりました」と製品開発のきっかけを話す根岸氏。こうして同社はまったく新しい視野検査機器の可能性を探ることになった。

VRシステムの中核となるコンピューター

 従来の視野検査は暗室の中で被検者が専用機器に頭を入れるような形で座り、一点を見続け、視野に飛び込んでくる光が見えると自分でスイッチを押すという形式で進めることが多かった。「この方法の場合、長時間一点を見続けなくてはならず、姿勢も崩せない。つまり被検者の方にも辛い検査だったのです。検査者もそれにつきそわないといけないので、両者にとって負担が大きな検査となっていました」(根岸氏)。

 視野検査は緑内障の進行を確認するために必須だが、早期発見ができれば進行を遅らせることも可能となるため、緑内障の可能性がある患者を少しでも多く見つけ出すためには、さらなる改良が求められた。「まずは少しでも多くの人に視野検査を受けてもらいたい、そのためには検査を簡単にできるようにしてあげないといけない。そこで考えたのが先ほど話した特許とVRゴーグルを融合させたシステムです」と根岸氏。

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GAP/GAP-screenerの開発経緯について語る根岸氏

 ファインデックスの確かな着眼点により、専用施設や特別な機器を必要とせず、VRゴーグル内の光を目で追うだけで検査が終了する画期的な仕組みが出来上がろうとしていた。「アイトラッキング機能を持ったVRゴーグルを利用することを前提としてシステムが開発されていきました。機能やコスト面から採用するデバイスが決まり、次はソフトウェアを載せ、AI分析を実行させるコンピューターを選択することになりました」と語る高須賀氏。

 当初、要件的にPCでの運用を視野に製品選びをしていたという高須賀氏。しかし、ある要件から、ワークステーションによる運用が急浮上してきたのだという。「それは製品のライフサイクルです。検査機器ですから、コンシューマ向けPCのように半年ごとにニューモデルが出るというのでは、検証作業への負担が大きすぎます。また、いつ部品が変わってそれがいつまで供給されるかもはっきりしないので、パーツを含めてライフサイクルが長いワークステーションのほうがメリットは高いと考えるようになりました」と高須賀氏。こうしてファインデックスの視野検査システムに利用するコンピューター選びが始まった。

総合力が決め手となりHPを採用

 ファインデックスが求めたワークステーションは、安定動作が期待でき、なおかつしっかりしたサポートが受けられる製品だった。「医療システムを長年病院や診療所に納める中で、当然PCも取り扱ってきました。ですから、PCが故障するとお客様がどれほど困るかは熟知しています」と根岸氏。同社が厳しい目で候補に挙げた製品の中から、最終的に選ばれたのはHPのワークステーションだった。「システムが求める要件は分かっていたので、スペックははっきりしていました。複数メーカーとの徹底的な比較検討の末、医療現場で受け入れやすいデザイン性、サポート力及び製品の安定的な供給力、そしてメーカーとしての信頼性を含めて総合的な判断でHPの製品を選びました」と高須賀氏は語る。コスト優先ではなく、医療現場で採用されるべきコンピューターだからこそ、HPが選ばれたというわけだ。補足だが、医療現場では白が選ばれる傾向が強いが、汚れが目立つのでシルバーやグレー調のほうが好まれるのだという。

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GAP/GAP-screenerがワークステーションを求めた背景について語る高須賀氏

 今回選ばれたのは『HP ZBook 15 G5 Mobile Workstation』だ。持ち運びが可能で、ハイパフォーマンスを発揮する15.6インチクラスのモバイルワークステーションとなっている。「ノート型を選んだ理由は、この形式だと眼科がある医療機関だけでなく、健診施設や眼科以外の医療機関でも手軽に検査できるようになるからです。用意するのはこのワークステーションと、VRゴーグルだけですから設置も撤収も簡単です。例えば、患者さんの自宅を訪問して視野検査をすることさえ実現可能なのです」と根岸氏は語る。

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 GAP/GAP-screenerはHP ワークステーションを採用することで、コンパクトで場所を選ばず実施できる視野検査システムになった。

 HPのワークステーションは強力なセキュリティ機能も特長だが、ファインデックスが設定した仕様により、さらに強固になっている。「このシステムではOSのアップデートも基本的にキャンセルし、視野検査という単機能での運用に限定しています。ネットワークへの接続もデータ受け渡し用の院内のイントラのみになるので、セキュリティ面で心配するようなことは起こりづらいシステムだと思います」と高須賀氏は語る。

 サポートについてはHPによるフルサポートに加え、販売パートナーが持っている医療機関専門チームによる保守が受けられる。「全国規模でオンサイトサポートが受けられます。医療機器は止めることができないので、この保守体制は必須です。パートナーと協業することで、柔軟で手厚いサポート体制を構築しているところがHPを選んだ最大の理由でもあります」と根岸氏は導入の手応えを語る。

視野検査にかかる時間と負担を大きく削減

 スペックを見越して導入機種を選定したファインデックスは、システムの検証をスムーズに終え、2019年1月に製品をリリースした。完成したGAP/GAP-screenerは、当初構想していたとおり、被検者への負担が少なく、かつ短時間で検査が終わる画期的な視野検査システムに仕上がった。

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 手軽に、そして正確に視野検査がおこなえるようになり、被検者、検査者の両者への負担は大きく削減された。

 「すでにいくつかの医療機関に導入いただいています。検査を受けた方の9割以上が従来型より大分楽になったとおっしゃってくださっています。同じ姿勢をとることが辛くて検査できなかった人や、検査方法の理解を得ることが難しいご年配の方にも簡単に説明できますから、運用の負担も削減できています」と根岸氏は製品の手応えを語る。従来の視野検査機器にも様々な計測方法があるが、それらの5分の1位の時間で検査が終わる。今後GAP/GAP-screenerが広く普及していくのも時間の問題だろう。

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AIを使った分析は的確で、見えづらかった部分を赤で強調表示する

 すでにHP ZBook 15 G5 Mobile Workstationの後継となるHP ZBook 15 G6 Mobile Workstationへの継続も決まっているファインデックス。「まだまだ、VRゴーグルを含めてこれが完璧とは考えていません。現行のG5で安定稼働が確認されている上に、次期モデルのG6はそこから大きな仕様変更はないことが分かっていたので安心して導入を継続することができました。今後もワークステーションを含めて、もっと良いものを私たちは求めています。医療機関でさらに扱いやすくなるよう、HPにはパフォーマンスは同等で、もっと薄型軽量なモデルを出して欲しいですね」と要望を語る高須賀氏。

 「従来型の視野検査機器で最も普及しているモデルは世界で6万5千台が導入されているといいます。しかし、世界人口からすれば決して多いとはいえないはずです。当社のシステムが世界に普及し、誰もが簡単に視野検査を受けられるようにするのが我々のミッションだと考えています」と根岸氏も今後の展望を語ってくれた。HPはファインデックスの発展とGAP/GAP-screenerの普及に向けて、今後も精いっぱいのサポートを続けていく。
(取材時2019年11月)

GAP/GAP-screenerの今後に期待したい。

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右側:日本HP ワークステーション営業部担当:長谷川純平、クライアントソリューション本部(VR担当):島﨑さくら

GAP/GAP-screener 説明用ムービー

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