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2019.10.10

コンテスト連続入賞を狙うスーパー高校生のつくるVR作品がついに完成 〜第27回国際学生対抗バーチャルリアリティコンテスト 予選大会レポート〜

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バーチャルリアリティ学会が主催する「学生対抗バーチャルリアリティコンテスト(IVRC)」は、学生が企画開発したインタラクティブ作品の新規性や技術的チャレンジ、体験のインパクトを競うコンテストです。1993年から開催され、今年開催している「IVRC 2019」は第27回を迎えています。

編集部では、高校生ながらユース部門(高校生,高等専門学校生,および大学2年生以下が対象)にて4度も受賞歴のある常連となっている、立教池袋中学校・高等学校の数理研究部の活動に注目し取材を行っています。前回の記事では、「IVRC 2019」予選に向けた夏合宿の様子をお伝えしました。そして、約2か月後の2019年9月13日、実際に動作する作品を展示して審査を受ける予選大会を迎えました。本記事ではその様子をレポートします。

23チームによる作品が展示。果たして立教池袋中学校・高等学校の数理研究部の作品は?

「IVRC 2019」の予選大会は、2019年9月13日、東京大学 本郷キャンパス内のセミナー室を利用して、書類審査を通過した計23チームのVR作品が展示されました。展示作品を審査委員が体験・審査した結果から上位9チームが、11月に開催される決勝大会へ駒を進めます。またこの日は同時にユース部門の本線もおこなわれ、審査結果により各賞が授与されることになっていました。

立教池袋中学校・高等学校の数理研究部のエントリー作品は「渡し舟教習所始めました」というもの。2名のプレイヤーが舟の舵取りと漕ぎ手となり、同じ空間の中でそれぞれ別の動きをして体験するマルチプレイ型のVRコンテンツです。書類審査時点の企画書、合宿中、そして今回展示された作品を順に見てみましょう。

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7月におこなわれた数理研究部の夏合宿では、舟の造作や、舟を操作するコントローラーの試作がおこなわれていました。

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そして完成した予選での展示作品。舟体は木材で造作され、舵取り担当は竿、漕ぎ手は櫓のようなものを操作する構成となっています。

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舵取り担当、漕ぎ担当が見ている景色は、外部のディスプレイにも出力されます。

システム開発や造作、予選に向けて夏休み中におこなった試行錯誤とは?

今回の作品を仕上げて学生の中から代表して向殿さん、林さん、山崎さんの三人に予選での展示作品の内容についてお聞きしました。

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(左から)向殿天晴(むかいどの てんせい)さん 高校1年生 / 林幸希(はやし こうき)さん 高校1年生 / 山崎友也(やまざきゆうや)さん 高校2年生

「今回、予選までにシステムとしても造作としても形になったのはよかったと思っています」と向殿さん。チームの構成について聞くと「2台のPCによるマルチプレイの部分は、システムに強い3年生の先輩に協力いただきました。その上で、2年の山崎さんがUnreal Engine上のゲームシステム部分のプログラミングを担当し、僕と林くんは造作や資料づくりを中心に担当しました。ほかの部員の方にも造作を手伝ってもらっています」と説明します。

今回の作品は、Unreal Engineによって構築されており、つぎのような構成になっています。

作品のシステム構成図。プレイヤーが装着するヘッドマウントディスプレイと、コントローラー部分はそれぞれ別のPCに接続されます。PC間の通信によりUnreal Engineによって構築されたVR空間に展開されます。そしてMRヘッドセットを通じて、舟を操縦する二人にそれぞれの周辺状況が伝わるという仕組みとなっています。

水面に浮かぶ舟の動きを再現するため、合宿時にはゴムボートの上に板を乗せるというアイデアが試されていました。しかし展示作品ではゴムボートは採用されず、木材を使った造作がされていました。

この件について向殿さんは「展示作品は、1.8メートル四方以内というレギュレーションがあって、合宿のときに試していたゴムボートはサイズが大きすぎました。また、ゴムボートでは傾きすぎて危険と判断し、床の下にスポンジとカラーボールを挟みむという案になりました」と経緯を説明しました。

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床の下に、梱包材用のスポンジとカラーボールを挟み込むことで、舟の不安定さを再現

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夏休みは朝9時から部活に行って作業して18時くらいに帰ってきてご飯食べて寝てまた行くという毎日でした。

また、漕ぎ手の櫓の部分も、合宿時にはみられなかった特徴です。この点について林さんに聞くと「江東区で和船の乗船体験ができるということを知り、合宿のあとにみんなで体験しました。そこで実際の櫓の部分を見て、それを再現することにしたんです。櫓を操作したときの水の手応えを再現するために、衣服に使うゴムを採用しました」と櫓の作製プロセスを説明しました。

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実際の櫓の動きを再現した装置を操作して舟を漕ぐ方法など、体験前に詳しい説明が行われていました。

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櫓の持ち手の部分にコントローラーをつけて動きをトラッキングし、櫓の動かし方で水面下の揚力を計算して推進力を調整する仕組みです。

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動作するものはできましたが、コントローラー動作が安定しないのと、バッテリーの持ちが悪いなどの課題もたくさんあります。

プログラミングを担当した山崎さんは「櫓の動きは、当初オールと同じと思っていましたが、体験することで、ぜんぜん違うことがわかりました。プログラミングは、物理現象をもとにしておこなうのですが、櫓の動きは日本の舟独自のものなので、どのような現象が起きているかをなかなか見つけることができませんでした。また、櫓の動きに加え、水の抵抗の手応えも加味する必要もあり、その点も苦労しました。完成したものは実際の動きを再現できたと思います」と、開発の苦労を語りました。

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舵取りの竿の部分は、川床の左右どちらかを押すと逆方向に向きを変えるというものなので、櫓の動きに比べると難しくありませんでした。

審査員をはじめ、体験者の意見から見えてきた課題と手応え

「IVRC 2019」の予選大会当日は、午前中から審査員の体験審査がはじまり、一般展示は12時からとなっており、編集部が取材に入った際にはすでに審査員による審査は行われたあとでした。審査委員など、体験した人たちの反応はどうだったのでしょうか?

向殿さんは「二人で別々のことをしながら協力して操作するVR体験はこれまであまり見たことがなかったので、その部分をアピールしました。体験した人からは関心を寄せていただいたと感じています。一方で竿の操作や舟の動作など、もう少し実際の感覚に近い形に修正してほしいとの意見もいただきました」と話します。

林さんは「視点の軸について指摘されました。VR空間での酔いもあるので、後ろの櫓を担当する人は、舟の動きとは別の軸に設定しています。そこが実際の船の場合と違うのでリアリティに欠けると指摘されました」と、VRならではの問題に直面していることを説明しました。

山崎さんは「ふたりで協力するVRなのですが、同時に体験する人が知らない人同士だと、プレイ中にあまり対話がなく、コミュニケーションの問題が起きることがわかりました。ペアで参加すると盛り上がるのですが、それぞれ別の場合はしっかり説明をしないと、面白さを理解してもらいにくいです」と、体験してもらう人への説明など、想定していなかった問題について語ってくれました。

 

今回の展示に向けた生徒たちの様子について、数理研究部顧問の内田先生にもお話をうかがいました。

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今回の作品は、MRヘッドセットをつないだPC2台の同期という技術的な課題があったといいます。「そこは、昨年のIVRCで受賞した作品を担当した3年生が基礎を用意しました。先輩の置き土産ですね。そして、主要メンバーは合宿が終わって、夏休みの間もずっと取り掛かっていました。予選では動作するものを作り上げることができましたね」と内田先生。

体験した審査委員からさまざまなフィードバックがあり、課題が浮き彫りになったといいます。「『指摘されたらつらいな』と思っていたところはすべて言われてしまいましたね。操作の説明が不十分なことも指摘されましたが、徐々にきちんと説明できるようになり、楽しんでいただけるように変化していきました。櫓の操作の水の抵抗感を再現する造作についても評価をいただきました」と、内田先生は、展示での生徒の対応を見守っていたようです。

結果発表〜ユース部門は堂々の金賞、全体3位で本戦参加のチケットをつかみ取る

計23チームが展示した「IVRC 2019」の予選大会。同日の17時から「ユース部門本選」および「一般予選大会の結果発表と表彰式が行われました。まずは、ユース部門本選の発表が先におこなわれ、今回取材した立教池袋中学校・高等学校の数理研究部の作品「渡し舟教習所始めました」は、ユース部門本選にて1位の金賞を受賞しました。

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その後、決勝大会に進む上位9チームがカウントダウン形式で発表されました。「渡し舟教習所始めました」は、なんと全体3位で予選を通過しました。

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ユース部門金賞受賞の感想と。11月の決勝大会についての意気込みについてみなさんに伺いました。

金賞なんて夢にも思わなかったです。みんなと協力して、先生の後押しもあって金賞にたどり着くことができました。決勝に向けては、審査員の方からの指摘を踏まえ、みなさんが舌を巻くような作品に仕上げたいと思います。
先輩がたがいろいろ助けてくれたおかげだと思います。これで慢心することなく、本戦ではレベルの高い賞を取れるようにがんばっていきたいと思います。自分自身の課題は、Unreal Engineなどシステム面の学習だと感じています。
昨年も受賞し、注目されているというプレッシャーのなか、金賞が獲れてよかったと思います。予選では3位でしたが、本戦ではまた違う戦いになるので、それに向けてがんばります。まだまだ粗い部分がたくさんあるので、それをひとつひとつ解決していきたいです。
きちんと展示できるところまで作りあげたのはよかったと思います。今回審査員から評価が高かったのが、床に設置したスポンジ。あの足場の不安定さが、舟に乗っている感覚をうまく表現できたという評価をいただきました。大学生を含めて23チームのなかで堂々の3位。決勝では優勝を目指してほしいです。

先輩から技術を受け継ぎ、皆が一丸となって作り上げた作品で、見事ユース部門の金賞を受賞。それぞれが現時点での課題を実感し、それを克服するべくさらなる改善を目指す決意が感じられました。11月の決勝大会での活躍が期待できます。

内田先生によると、いまの中学三年生の部員たちも、来年のIVRC挑戦を考えているそうです。立教池袋中学校・高等学校の数理研究部のテクノロジーを自分たちのものにしていく活動から目が離せません。

 

HP VR Backpack G2
Windows 10 Pro搭載。この軽くて快適なバックパックとホットスワップ可能なバッテリーは、配線を気にすることなくどんなスペースでもVRを使って作業、 デモンストレーション、トレーニングをすることが可能です。

 

HP Reverb Virtual Reality Headset – Pro Edition 製品詳細
2160×2160(片眼)の高解像度、最大 114 °の広範囲な視野角による鮮明なVR体験、約500グラムの軽さにより快適性が向上、トレーニング、デザイン・開発、医療などさまざまな分野での活用が期待できます。今回の作品では漕ぎ手のプレイヤー部分に採用されました。

 

第27回学生対抗バーチャルリアリティコンテスト(IVRC)
2019年11月には海外の招待チームも交えた決勝大会が予定されています。

 

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