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2020.01.14

アニメーション制作のデジタル移行で求められるシステムの要件とは? 『天気の子』の現場に聞く

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 日本を代表する文化として、世界中に広く認知されるようになったアニメーション。その制作現場では、多くの作業がデジタル化され、デジタルツールがなくてはならない存在となっている。そこで今回は、アニメーションの最前線でのデジタルツールの有用性と今後の展望を、映画『天気の子』の制作を手掛けたコミックス・ウェーブ・フィルムでシステム管理を担当した都川眞栄氏と、同社のシステム構築を手掛けるTooの内山拓哉氏に聞いた。

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コミックス・ウェーブ・フィルムの都川眞栄氏(写真=左)と、Tooの内山拓哉氏(写真=右)

デジタルで大きく変わったアニメ制作

 アニメーション制作にはさまざまな手法があるが、一般的にはセルアニメーションと呼ばれるものが普及している。キャラクターなど画面上で動くものをセル(透明のフィルムシート)に描き起こし、背景画の上に重ねてタイムシートに従って撮影台でコマごとに撮影していく手法だ。アナログで行われてきたこの作業だが、90年代に入ってからはデジタルツールを使った作業が徐々に普及し、00年代からは動画・仕上げ・撮影はデジタルで行われるようになっていった。

 アニメ制作でコンピュータの使用が一般的になった近年では、コンテ・原画・演出部分においてもデジタルツールを取り入れて制作を行うスタジオもある。しかし、動きのある描写と背景画を別々につくり、それらを合成してアニメーションを仕上げるという制作作業の原理はアナログとデジタルで大きくは変わらない。特筆すべきは3DCG技術の発展により、背景画を含めたあらゆる描写で、手描きでは難しかった動きを表現できるようになっていることだ。

 例えば、19年夏に公開され、大ヒットしている新海誠監督作品の『天気の子』では、風景写真や地図情報を基に、舞台となった東京の街並みを3D空間に再現。これらのモデルを活用することで、大きく動くカメラワークに合わせて背景画をダイナミックに変化させるといった高度な映像を実現している。

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立体的に再現された都内の建造物

コミックス・ウェーブ・フィルムの都川眞栄氏



 「アニメの制作現場はもともとがアナログベースですが、各フローが少しずつデジタル作業に置き換わることで効率化され、アニメーターとCGクリエイターがお互いの表現を突き合わせることで、より豊かな表現にもこだわれるようになりました」(都川氏)

デジタル制作の比重が高まる中で「壊れにくい」は重要なポイントに

 しかしデジタルの手法が現場に浸透するほど、制作環境のシステムの重要性は増していく。考慮すべきポイントは多岐にわたるが、特に重要だと考えられるのが、高性能・高信頼性で安定稼働するハードウェアだ。システムに何らかの不具合が発生して作業がストップしてしまえば、全体の進行スケジュールに影響を与えてしまう。

 そこでコミックス・ウェーブ・フィルムでは、スタッフからの要望を受けて『天気の子』の制作現場にWindows 10 Proを搭載した日本HPのワークステーション「HP Z Workstation」を導入した。機材の選定に協力したのは、アニメーションをはじめとするクリエイティブ業界に強いシステムインテグレーターのTooだ。同社の内山拓哉氏(デジタルメディアシステム部 セールスサポート課)は、日本HPのワークステーションを選んだ理由を次のように説明する。

Tooの内山拓哉氏(デジタルメディアシステム部 セールスサポート課)


 「HP Z Workstationを提案したのは『耐久性に優れたワークステーション』であるという理由が一つです。初期導入コストだけを比較すると、より安価なワークステーションもありますが、実際に運用を始めてから故障が頻発するようでは、トータルコストはむしろ高くなってしまいます。その点、信頼性と堅牢性に優れたHP Z Workstationなら、私たちベンダーとしても安心してお勧めできます」(内山氏)

 『天気の子』の制作現場では、全ての工程にHP Z Workstationを導入することは難しかった。そのため3DCG映像制作を担当するCGチームが使用するワークステーションと、背景美術を描く美術部、映像合成を行うレンダーファーム用途のワークステーションを中心に配置した。

 コミックス・ウェーブ・フィルムでは制作工程のデジタル化を支えるワークステーションとして、今後、他のチームにも導入を検討しているという。しかし、限られたコストとの兼ね合いもあり、全ての工程にハイエンドフルスペックのワークステーションを導入することは現実的ではない。

 日本HPはそんな現場の声に応えるため、Zブランドの新しいエントリーモデルとして「HP Z1 Entry Tower G5」(Z1)の提供を始めた。ミニタワー型のコンパクトボディーに第9世代インテル®Core™ i9プロセッサーとNVIDIA® GeForce RTX™を搭載。導入しやすいエントリーモデルでありながら、3DCGやゲーム開発などの高度な作業に耐えうる性能を追求した。

 今回、コミックス・ウェーブ・フィルムで、アニメーション制作現場に導入することを想定してZ1を試用した感想を聞いたところ、同社がZ1の強みとして感じたのは性能とコストのバランスだという。

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エントリーモデルの「HP Z1 Entry Tower G5」(左)と、ハイエンドモデルのHP Z8 G4 Workstation(右)

 「試用しているマシンはCore i9 プロセッサーやGeForce RTX 2070を搭載しており、このクラスの性能を持つマシンを、制作フローの後工程にあたる撮影チームに導入できればと感じました。各工程で作られた素材を一つにまとめる工程で十分に使える性能を実現しながら、日本HPの運用・保守サポートも含めて1台20万円台からという価格は、非常に魅力的です」(都川氏)

 実は『天気の子』の制作現場では、ハードな処理を行うことが多い撮影監督がハイエンドワークステーションの『HP Z8 G4 Workstation』を使い、その他のスタッフはノーブランドのBTOマシンを使っていた背景がある。GeForce搭載で価格を抑えながらも、ワークステーションクラスの信頼性とサポートが得られるZ1のようなマシンを現場にいきわたらせることができれば、アニメーション制作工程全体のスピードアップと動作安定性の向上につながると都川氏は期待を寄せる。

 「以前は適材適所でマシンパワーが必要なところからHP Z Workstationを配置しましたが、制作現場のデジタル化が進めば、低価格なだけでなく、マシンに求められる信頼性はさらに高まります。Z1はそのニーズにこたえてくれるマシンと言えるでしょう」(内山氏)

 「制作現場のデジタル化は今も進み、作画作業をデジタルで行うケースも増えています。一方、多種多様なデジタルツールの存在が作業者に選択を悩ませるなど、デジタル化の流れの中にはまだまだ多くの課題が存在しています。しかし、HP Z Workstationによってハードウェアの課題は解消しつつあると感じています」(都川氏)

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 コミックス・ウェーブ・フィルムが取り組むアニメーション制作工程に貢献するハードウェアとして、HP Z Workstationはこれからも制作現場を支えていく。

 「弊社のアニメーションの制作現場ではアナログとデジタルの作業が混在していて、手描きの方が得意という方も、デジタルの作業に特化された方もいらっしゃいます。今回のワークステーションの導入のように、現場の声を聞きながら、どの作業においても最大限のパフォーマンスを発揮できる環境を整えていきたいと考えています」(都川氏)

記事制作:ITmedia NEWS編集部

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