IT機器を活用することで、在宅勤務やオフィス外での柔軟な働き方を可能とする「テレワーク」。時間や場所の制約を受けずに働くことができることが特徴だ。

現在政府は「働き方改革は、一億総活躍社会実現に向けた最大のチャレンジ。」というコンセプトを掲げ、その取り組みの一環としてテレワークを推進している。しかし、企業の立場からすると、育児や介護のために出社する時間が作れない従業員への対応策としてテレワークを実施する傾向にある。つまり、テレワークに対する取り組みは、社会的要請に応えるための“コスト”として認識される傾向にあるのだ。

しかし、アメリカを始めとする海外の取り組みを見てみると、テレワークは「生産性向上」や「創造性向上」のための手段として位置づけられていることがわかる。このような日本と海外の違いは、どこから生まれたのだろうか？

この背景にあるのが、「ザ・日本型雇用」から脱却できずにいる、日本企業の特性である。日本企業はこれまで大きな開かれた空間で従業員が働く「大部屋型」の働き方が基本であった。オープンな空間で多くの従業員がコラボレーションするワークスタイルは事実、多くの企業で取り入れられている。しかし、そこには『見落としがちなデメリット』があることを忘れてはいけない。

早くから個人主義が始まり、契約ベースのジョブ型雇用に切り替わっている米国企業では、それぞれが仕切られた空間で仕事に取り組むスタイルが主流となっている。また、国土が広く移動に時間がかかるからこそ、ネットワークを有効活用したコミュニケーション手法が発達している。

加えて、部門ごとの独立性が強く、経営者と従業員の立場の違いも明確だからこそ、現場での情報共有があまりなされない。だからこそ、ITの仕組みをフルに活用した情報共有の仕組みが発達していったのだ。

こうした背景があり、米国ではテレワークが違和感なく受け入れられていった。当初こそ米国企業でもテレワークの対象業務は限定されていたが、業務に集中できるため生産性が上がったことで、多くの職種にも広まっていった。

このような海外と日本の違いを踏まえた上で、私たちは今、どのようにテレワークを推進し生産性を上げていけば良いのだろうか。本コンテンツでは、その具体的なポイントを紹介している。テレワークを検討している経営者、人事部門の方には一読をお薦めしたい。