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2019.08.06

教育とテクノロジー

⽴教池袋中学校・⾼等学校 ― 数理研究部顧問 内⽥芳宏先⽣インタビュー

私⽴校の中⾼⼀貫校、⽴教池袋中学校・⾼等学校には「数理研究部」という部活動があります。設⽴は1971(昭和46)年と古く、毎年約50名の部員がパソコン、プログラミング、数学、ゲームづくり、ウェブ関連や社会科学など、数理学をもとにさまざまな分野を研究。最近では外部のイベントでも次々と成果をあげ、全国数学選⼿権(現・数学甲⼦園)で準優勝、中・⾼・⼤学⽣を対象としたコンテスト形式の株式投資学習プログラム「⽇経STOCKリーグ」では12年連続で全国⼊選、2018年の「国際学⽣対向バーチャルリアリティコンテスト」のユース部⾨では⾦賞と協賛企業賞のダブル受賞を果たしています。前篇では、数理研究部顧問の内⽥芳宏先⽣に、部員の活躍ぶり、48年に及ぶ部の歴史、そしていまの⼦どもたちの特徴やそれに合わせた指導法についてお尋ねしました。

未来を生き抜く"オタク"を育てよ。

── 数理研究部(以下、数理研)には現在何名の部員が在籍し、どのようなテーマで活動をされているのでしょうか。

内⽥芳宏(以下、内田) いまは中・⾼合わせて58名で、それぞれ週5ペースで放課後に何らかの活動をしています。

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 研究分野は数学、経済学、情報学の3つに分けられます。まず数学では、中学1・2年⽣は先取り学習をし、中学3年⽣からは⾼学年の先輩が後輩に教えるという形で、数学検定各級の取得を⽬指しています。数学甲⼦園にも何度か出場しました。経済学では、中学1年⽣から毎年「⽇経STOCKリーグ」に出場。チームごとに株式の投資テーマを決め、1年を通して調査をし、レポートを提出します。情報学では、中学3年⽣からプログラム⾔語を学び、コンピュータを使ってゲームプログラミング、3Dモデリングなどを⾏うほか、ロボットや⾃作PCなどの制作もしています。VRも盛んで、⽇本科学未来館で⾏われた「国際学⽣対向バーチャルリアリティコンテスト(IVRC)」や、ヨーロッパ最⼤のバーチャルリアリティコンテスト「Laval Virtual」でも結果を残しました。

── 2018年は⽇本HP主催の「Project Mars─Education League JP」でも優秀賞を受賞し、国際コンペティション⽇本代表作品に選出されていますね。

内田 ええ。参加した⾼校2年⽣(当時)の5⼈は、⾼1のときにIVRCは出場できましたが、Laval Virtualは審査に通らず、燃え尽きていたんです。それで「そんなに暇ならProject Marsをやってみなさい」と勧めたところ、重い腰をあげた。⼀次選考、⼆次選考と進み、決勝の8チームに残ったところで、モチベーションが⼀気にあがりましたね。CGが好きな⼦やプログラミングが好きな⼦、リサーチして情報提供をするのが得意な⼦など、興味・関⼼がそれぞれ違う5⼈だったことも、チーム⼒を⾼めた⼀因かもしれません。

── 数理研のそもそもの成り⽴ちを教えてください。

内田 1971(昭和46)年、数学教師だった佐藤勝造先⽣が授業とは関係のない数学史を教えたところ、⾯⽩がる⽣徒たちがいて、いわば私塾のような形で始まりました。1980年代にはいち早くマイクロコンピューターを導⼊し、数学だけでなく、情報理論などの分野にも⼿を広げています。

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 私が副顧問になったのは1990(平成2)年です。そのころ部に置いてあった古いパソコンを使って何かやりたいけれど、指導できる教師がいないということで、学⽣時代にアルバイトでプログラミングをかじっていた私に声がかかったんです。当時はメモリーの容量も限られていたので、⽉並みですが内蔵されているゲームから始めて、最終的にはテキストベースでプログラムも書き始めました。

── それは⽣徒が⾃発的に?

内田 そうです。⼦どもというのはいったん興味を⽰すと、⼦どもだけでどんどん研究を進めていきます。⼦どもの興味・関⼼と、⼤⼈のそれとはズレていて、そのズレを教員サイドに寄せようとすると、絶対に無理が⽣じます。ましてや授業ではなくて部活ですから、興味がなければ部活に出てきません。つまり、教師のすべきことは、⼦どもの眼の前にたくさんの種(たね)を蒔くこと。その中で⾒向きもされない種もあるし、1回⾷いついて終わるものもあるし、⾷いついたら離れないものもある。要するに、⼀⼈ひとりがどの種に⾶びつき、⾃⼒で花を咲かせるかということなんです。それが設⽴当時から続く数理研のやり⽅ですね。

── 内⽥先⽣は具体的にどのようなことに注意して指導されているのですか。

内田 ⼤事なのは、焦らせないこと。ただし、⼀⼈ひとりが⾃ら決めた課題と努⼒⽬標に関しては、厳しく⾔います。「⾃分で決めたんだろう︖」「どこまでやったの︖」と。そこで「やってない」「諦めた」と⾔えば叱るし、「◯◯の理由で⾏き詰まっている」「△△へと⽅向転換したい」という⾔葉が出てきたら許諾する。⾃分⾃⾝で軌道修正できるというのは、ずっと続けられる⼦たちの特徴ですから。親御さんの中には「うちの⼦は幽霊部員で」と申し訳なく⾔う⽅がいますが、⼦どもには「やりたい」「⾒つけたい」という想いがある。それをいまのところうまく表現できないだけなので、「焦らなくていいんです。きっとあなたのお⼦さんも⾒つけますから」と伝えるようにしています。

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── 数理研のモットーは「好きなことを好きなときに好きなだけ探求する」(この⾔葉も⽣徒が考えたモットー)ですね。最近の部員が外部イベントで好成績をあげるようになったのは、こういう学びの姿勢が関係していますか。

内田 関係すると思いますが、最近の⼦どもは⽬の前に種があっても拾おうとしない⼦が結構いるんです。以前は種が⾒えなくても、砂場をほじくり返して探していた。それが、ちょっと⾃分で探すのが苦⼿になってきているかなと……。探し⽅がわからないがゆえに、⾃分に合う種がわからない。だからなんとなく⾔われたままになってしまう、ということを感じなくはないです。

 逆に、⾔われたことをこなすのはすごく上⼿です。「◯◯というテーマについて調べてまとめてごらん」と⾔ったら、ものすごい内容を調べてくる。でも、「テーマを⾃分で探してごらん」と⾔うと、パタッと⽌まる。その状態を打破させるためのきっかけを、いかに教師がつくれるか。

 例えば、本校には天⽂部、⽣物部、科学部、数理研究部と、理科関係の部活動が4つもあるんです。通常の学校にも理科関係の部、パソコン部くらいはあると思いますが、数理研究部という名でコンピュータを扱っている部なんて、私が知る限りはないです。そういう場を⽤意するのも教師の役⽬です。

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── つまり、御校の数理研に⼊部すれば、社会に出る前にたっぷりとテクノロジーに触れることができるわけですね。

内田 そのとおりです。逆に数理研を出た⽣徒が⼤学に⾏くと、「⼤学1年⽣なのになんでそんなことまで知っているんだ︖」と驚かれます。⼀般の⼤学⽣はプログラミングどころか、データ共有の⽅法すら知らない。⼀⽅、数理研では中学1年⽣からCloud上でデータを共有します。SNSでDiscordも使います。中2には、OneNoteとクラウドの利⽤を義務付けています。あとはGoogleスライドを使って何かをすることもよくあります。

── 部員は、中学⽣でも個⼈でパソコンをもっているのですか。

内田 ええ。ただし、朝、教室には持っていかずに部室に置いておいて、放課後になったら取りに⾏くというルールを設けています。先⽇、中学2年⽣に「今回は何をするの︖」と尋ねたら、「⽇経STOCKリーグで株式のポートフォリオを分析するのに、株価情報をネットで収集するために毎回コードを仕込むと⼤変なので、1⽇の始値と終値の変化のデータをダウンロードして、そこからコードを⼊れると、必要な情報だけがピックアップできてエクセルデータになるようにします」と⾔ってね(笑)。それで実際にVBA(MicrosoftがMS Officeの拡張機能として提供しているプログラミング⾔語)でつくったんですよ。

 いまはもう、オタクの時代じゃないですか。本校は理系オタクにめちゃくちゃ優しい学校なんです(笑)。今年、東京⼯業⼤学が初のAO⼊試を⾏いましたが、本校からは2⼈受かりました。オタク⼊試ですよ。京都⼯芸繊維⼤学のAO⼊試でも1⼈合格しています。⼯学系でいえば、慶應も早稲⽥も、“オタク”というだけで⼊れる。私は「オタク」っていい⾔葉だと思うんです。どんなオタクになるかはそれぞれ別ですが、好きなことを極められるというだけでも幸せなことですから。

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── 最後に、未来を担う子どもたちの親御さんへメッセージをお願いします。

内田 学校でも家庭でも、型にはまった⼦は「いい⼦」で、型にはまらなかった⼦は「落ち着きがない」「やんちゃだ」「⾔うことを聞かない」という判断になることが多いです。でも、その型をちょっと⼤きなサイズにして⾒てあげれば、誰でも⼗分収まる。放任でもなく、無責任に受容するわけでもなく、⼦どもの型を⼀⼈ひとり⾒てあげること。サイズだけではなく、形も、三⾓形、四⾓形、丸……といろんな柔軟性をもたせると、⼦どもは⼗分健やかに育っていくだろうなと思います。

 もちろん、安全性を担保することは⼤事です。わざと過失になるようなことや迷惑をかけることをしないよう、注意をはらって⽬を光らせておかなければいけない。でも、そうではない範囲であれば⾃由にさせてあげること。

 あとは、待つことですね。⼦の成⻑を他と⽐べて、「早い」「遅い」と⼀喜⼀憂しない。学校内でも、待てない世界と待てる世界が共存していいのではないかと思うんです。例えば、授業は待てないけれど、部活で⼗分に待ってあげるとか。学校の中にいてくれる限りは、どんな状況になっても学校の管理下なので、犯罪には引っかからない。家庭でもそれと同じように、待てる世界を親がつくって、安全性も担保すると、⼦どもは伸び伸びと成⻑していくのではないでしょうか。

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探究心を鍛える

⽴教池袋中学校・⾼等学校の「数理研究部」は、部員だった⽣徒にどのような影響を与えるのか──。「数理研究部が私のキャリアに与えた理由」というテーマで、数理研究部顧問・内⽥芳宏先⽣とOBである並⽊俊之さんが対談しました。また、コラムとして、現役部員の⾼校2年⽣ふたりにも数理研究部での学びや⾃らの研究テーマについて語っていただきます。

内田 並⽊は、中学校時代は野球部だったよね。なんで⾼校から数理研究部(以下、数理研)に⼊ったの︖

並⽊俊之(以下、並⽊) 内⽥先⽣の前ではなかなか⾔いにくいですが、私は数学やテクノロジーにそもそもあまり興味がなかったんです(笑)。ただ、中学時代に仲が良かった友達がたまたま数理研にいて、合宿で⼀緒にソフトボールができると⾔われ、すごく惹かれまして。正直、野球部はベンチにも⼊れなかったので、⾼校に⼊ったらちょっと違うことをやりたいと思っていたので、⼊部しました。

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内田 当時はFlashが全盛期だよね。⾳も動画も同時に使えるという、ハードルが⼀気に下がったのが、Flashだったんじゃないかな。

並⽊ そうです。でも、やっていくと、部員みんな関⼼を寄せる分野が違う。グラフィックに惹かれてアニメーションをつくるやつもいれば、サウンドに興味をもって⾳楽をつくるやつもいた。Flashを起点に⾃分の興味がある分野をそれぞれが探求し、⽂化祭の展⽰に向けて頑張るという感じでした。内⽥先⽣はそれを後押しする⽴場というか、「あれしろ、これしろ」と細かく⾔わず、いつでも待ってくださったことを覚えています。

内田 そのころはまだ外部イベントに参加・出場することはなくて、⽂化祭が唯⼀の発表の場だったから、みんな気合が⼊っていたよね。

並木 そうですね。僕も1、2年⽣のときはFlashをいじる段階だったので、ちょっとしたアニメーションをつくって展⽰した記憶があります。3年⽣のときははっきりと覚えていて、⾃分の展⽰が間に合わなかったんです。⾼校⽣活でいちばんの挫折というか、涙をこぼすくらい悔しくて。そもそも⾃分は何をやりたかったのか、⼤学に⾏ったら何をしたいのかと、⾃らと向き合わざるを得ない経験になりました。

内田 間に合わなかったのは、並⽊⾃⾝が周りに頼れなかったり、わからないことを⾃分で抱えちゃったりしたことだったよね。その挫折の経験で、具体的にはどう変わった︖

並木 ⾃分がこれから何をやればいいのかわからないのであれば、⼤学では⽚っ端から⾯⽩そうな授業をとろうと決めました。学部も、⼼理学や経営学、経済学などありとあらゆる学問に触れられる社会学部産業関係学科、いまでいう経営学部に⼊学して。とにかくいろんなところに⾸を突っ込んで、⾃分の興味があること、好きなことは何かを突き詰めようと思ったんですよね。

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 振り返れば、私の代はみんな興味の分野がバラバラで、ゲームが好きなやつ、アニメが好きなやつ、それこそプログラミングが好きなやつとはっきりしていて、ただ好きなことを突き詰めていた。⽂化祭の展⽰でも、10⼈いれば10⼈違う作品を出していた。でも、いまの現役⽣は外部イベントにチームで参加したり、⼊賞したりしている。私の代のころといまの学⽣たち、内⽥先⽣から⾒て変わったなというのはありますか︖

内田 いや、資質は⼀緒だね。外部のイベントがなければ、いまでも⽂化祭に⾃分の関わってきた作品を発表していると思うよ。ただ、制作の規模が⼤きくなると1⼈ではできないので、協⼒者を仰ぐようになってきたかな。映像はつくれるけど⾳はつくれない⼦が、⾳楽をつくるのがうまい⼦に依頼をするとか、ゲームのデザインは考えられるけれどキャラクターを考えられない⼦が、他の⼦にコンテをお願いするとか。プログラムだけ書いてCGは他の⼦のものを使わせてもらうという⼦もいる。それが2⼈、もしくは3⼈の展⽰作品になっていくわけです。

 つまり、全⽅位的にできなくても、⾃分のいちばん得意な分野で⼒を発揮できることが増えてきている。特にものづくりが⼊ってくると、ノコギリやカンナなどの道具を使うのがうまい⼦もいるわけでね。すべてがデジタルという世界ではない中で、⾃分のできることは何かなと考えられる。そういう得意分野の違う複数の仲間でやる醍醐味というか世界が、並⽊の代よりは広がってきたかもしれない。ただ、資質的にはそんなに⼤きくは変わっていないよ。

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並木 先⽣はそうおっしゃるかもしれませんが、私は⽇本HP主催の「Project Mars─Education League JP」で再び数理研に接点ができて、現役⽣の能⼒の⾼さに驚いたんです。例えばテクノロジーという切り⼝から提案をしてくるとか、天⽂部かと思うようなレベルで⽕星について調べてくるとか。プレゼンテーションの内容も「避難訓練」というユニークな切り⼝だったし、実際のVR化のレベルも⾼かった。

内田 「Project Mars」は、すごく良質の種をいただきました。それ単体で完結せずに、次につながっていったところが特にね。

並木 私も彼らが「国際学⽣対向バーチャルリアリティコンテスト(IVRC)」で⾦賞と協賛企業賞を受賞するまで成⻑したことに、すごく驚きました。たぶんその裏にあるのは、⽣徒⼀⼈ひとりの興味や関⼼、それを育ませる環境が数理研にあったということでしょうね。もちろん、私の時代も好きなことを好きなように突き詰められる環境はありましたが、やはりテクノロジーの進化によって⽣徒の資質も変わり、できることもすごく増えているという印象があります。

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 実は本当に彼らに感化されて、私もAIの勉強を始めたり、ディープラーニングの資格試験であるE検定(JDLA Deep Learning for ENGINEER)の受験準備を始めたり、苦⼿なプログラミングも再挑戦したりしたんです(笑)。当時できなかったからこそ、もう1回トライしたいなと。まあ、趣味の範囲ですが。

内田 それは嬉しいね。⼈ってまっすぐ歩いているように思っても、実は曲がりくねっていたり、同じところを3周くらいしたりしているかもしれない。それでも、前を向いて進めるのは、⽣きる⼒だと思う。挫折もあるし、うまくいくときもあるし、失敗するときもあるし、やりきれないときもあるし、悔しい思いをするときもあるけれど、それでも前を向いて進めたら成⻑なんです。だから、並⽊が⽴派に成⻑してくれていることが、何よりも嬉しい。

並木 あらためて、数理研が与えてくれたものは⼤きかったなと⾃分でも思います。それが今の⾃分の“興味を幅広くもち、「⾯⽩い︕」と感じたら⾶びつける積極性”に繋がったんだろうなと……。⼈⽣の⼤きな転機となった3年間でした。

内田 並⽊も、広義で⾔えばオタクだからね(笑)。それでいいと思う。いまの世の中、オタク的な資質というか、探究⼼や持続⼒がないとやっていけないんじゃないかな。

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並木 オタクの⼈と話すのって楽しいんですよね。違うバックグラウンドがある⼈と話すと、世界の広さ、奥深さに気づける。私もたまに数理研の同期と飲んだりしますが、相変わらずお互いオタクですし、ものすごく話が盛り上がります。オタクに優しい学校でよかったです(笑)。

数理研究部 部員インタビュー

①吉⽥翼さん(⾼校2年⽣)

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 もともとゲームが好きで、中1から⼊部しました。最初は数学ばかりやっていたのですが、ゲームをつくりはじめてから俄然⾯⽩くなりました。いまはプログラミングを学んだり、最近では電⼦⼯作にも取り組み始めたりしています。具体的な⽬標は決まっていませんが、デバイスやソフトウェアをつくって⾼度な処理を学び、より効率性の⾼い最適化されているコードを勉強し、何かの⼤会に出せればいいなと思っています。

 ⾼校⽣になってからは、IVRCに2回出場しています。昨年(2017年)は、⽝追物(いぬおうもの・鎌倉時代から始まったとされる⽇本の⼸術の作法の⼀つ。騎⾺で⽝を追い、⼸で射る騎射訓練の武術)という昔の儀式的な⽂化をオマージュした「RUN! RUN! RUN!」という作品で、⽝になりきって騎⼿から逃げるというコンテンツのVRを展⽰しました。⽮が当たる感覚を再現するところがプロジェクトの基盤で、⽮が当たった瞬間にどういう処理を挟むのか、どういう形で背中の衝撃を伝えるのかなど、最初は無線技術に関する知識がまったくなかったので苦労しました。(編集部注︓銀賞と未来観客賞をダブル受賞)

 今年(2018年)は、⾼1〜⾼3が組んで「ARCO−Avoid the Risks of CO−」という作品を出しました。配線や電⼦⼯作の分野で、知識的にも技術的にもプログラムに向かう考え⽅においても少しは成⻑できたかなと思っています。(編集部注︓⾦賞と協賛企業賞をダブル受賞)

 そもそもVR機器は⾼価ですし、それに触れるということ⾃体が貴重な経験でもあります。それに加えて、顧問の内⽥先⽣がいろいろなお話をもってきてくれるし、先輩からも新しい分野の紹介があって、知⾒を広げられたのはよかった。数理研は、授業とは違って、「こんなことをやってみるか」というチャレンジができる場所なので楽しいですね。それでいいコードが書けたりすると、気持ちよくなるというか、達成感があります。将来は、ソフトウェアエンジニアかITエンジニアになりたいです。

②三澤尚輝さん(⾼校2年⽣)

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 ⼩学⽣のころに⽂化祭を⾒学に来て、パソコンでいろいろやっている部活に惹かれて、中1で⼊部しました。ちょうどVRを先輩が始めたときで、⾃分でも興味をもって調べているところです。あとは、スマートフォンなどのガジェット系の研究と、MRについての論⽂の下調べをしています。

 僕も吉⽥くんと⼀緒のチームでIVRCに2回出場しました。⾃分が担当したのは、テーマや企画書づくりといった基本的なプロジェクトの流れと、デバイス部分の開発のアイデア練りです。プロジェクトチームは、多いときには10⼈くらいいたので、それぞれの得意分野を突き詰めていったらよりいい感じになりました。最終の展⽰では、⾃分たちのVRに込めている想いや理念はしっかりと形にできたと思います。

 学⽣時代に課されるタスクや仕事というのは、決められたものを期限までに提出するだけですよね。でも、IVRCなどの外部イベントというのは、4⽉の学期が始まってからスタートして、提出するのは秋なんです。そういう⻑期間のプロジェクトを、⾃分たちで考えてやらないといけない。アイデアの⽴案と時間軸での計画、役割分担、できる・できないの可能性までを⾃らで出し、磨き、形にしないといけない。これは普通の学校⽣活ではあり得ないことだし、⼤学⽣活でもそこまで⻑期間のプロジェクトというのはなかなかないので、⾼校⽣活の数理研在籍ならではの経験ではないかなと思います。あとは、IVRCという同じ⼤会に2年連続で出場し、中1からの5年間の積み重ねとは違う、⼤きな発表の場で競うという経験が成⻑を促すという実感があります。

 将来ですか︖ ⼤層なことは⾔えませんが、趣味は趣味としてやっていくし、できれば仕事にも関わらせたいという感じです。具体的にこの職に就きたいというのは、いまのところありません。

 ただ、5G通信などの通信分野とMRを掛け合わせた可能性に興味があって、⾃分の論⽂のテーマにも選びました。通信速度が上がることによって起きることは、動画の映りが最適だとかWebページの読み込みが速いとかいうだけに⽌まらず、⼤きなコンテンツとしてもでき ることがどんどん増えていく。それがいま、リアルタイムで始まっているので、それを調べ尽くし、学校⽣活の集⼤成という形で論⽂にチャレンジしたいと思います。

(取材・⽂:堀 ⾹織  撮影:⼩林敏伸)

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